さわりたい

ニートの日記と詩

渾身

 

 

ここに一つ私の生い立ちを

少しほんの少し

 

私の家は裕福だった

私の家はお金にも食べ物にも困る事がなかった、母は優しく祖父母も私を可愛がってくれた。父はあまり家に帰って来なかった、後から知ったのだが父は飲み屋の女と不倫していたそうだ。

私の家は裕福だった

それはそれはとても裕福で家には高価な宝石や綺麗な着物なんかがあった、祖父母の事業が傾くまではそれはとても裕福な家でした。

 

転落

それまで価値のあった煌びやかな宝石や綺麗な着物達は今ではただのガラクタのように、色褪せる。悲しみの中に安寧を見出したかのように今ではひっそり眠るばかり。綺麗な色した見事な着物も今では誰にも着てもらえずにひっそりと、ひっそりと。そうして私はいつまでも過去を引きずり引きずられ父を恨み生きていく。終わる事の無い途方の無い闇の中で救いの手などなくあるのは怨恨だけで私はこのまま恨みの炎を見に纏い般若になるのではないだろうか。と。

 

それはそれはとても裕福な家の話

まだ家族が揃っていた頃の話

食卓に笑顔が溢れていた頃の話

今ではひっそり1人で食べる食事、冷えたコンビニ弁当、祖父が好きだったぬるいビール、暗い部屋

宙を舞う蝿を見て一言

 

あぁ、もう私は死にたい

あの頃に戻りたい