さわりたい

ニートの日記と詩

2016-01-01から1年間の記事一覧

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鱗を隠して嘆いて刺して王子様は逃げて行く ついにはルビーの心臓さえあなたは奪って逃げて行く 何処までもと伝わる息は虫のよう サファイアの涙が泣いたいつかは還る砂漠の海を渡る方舟一艘限り

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日没も共に死ぬ 遠く聞こえる汽笛に耳を傾ければいつかの音楽、聴こえてくる小さな灯火乗せた列車消えてしまわぬようにと震わせる体蠢く胎動に顔を歪める伝わる体温1.2.3で飛び出す時系列が歪曲する瞬間日没が死んでしまう

14

笑う夕陽に背中向けて佇む少年泣き止んで頬伝う涙を拭って歩けど歩けど先は長く夕陽は絶えずに笑っている

13

地球が落ちてきたあの日続くはずの途絶えた記憶に樹海が木霊する樹々の中和挫折したはずの晴れた雨の日時折見せる温度と落日に実を結ぶ

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赤の葉に 酔いしれ水面 映し出す想い巡れど 水面は揺れて

11

かつて宇宙船を見たことがある忘れ去られた宇宙船を見たことがあるそこには何も無くて ただただ茫然とするしかなかった かつてはいつかは忘れ去られいつかはかつてになり、繰り返し繰り返し。

10

燃える女発火する唇嘯き躓き引き攣り震わす体に宿れる肉体

9

金木犀 いつかの香り 金木犀の香りが恋しくて ベランダに出てみるのだけれど 金木犀は探しても見当たらなくて あぁ、此処には無いのだったと思い出す 幻臭であろうがあの甘い香りが鼻腔を刺激している 肌寒さを覚え 雪虫の群れを見ると もう冬はすぐそこに迫…

8

目を閉じてはいけない 永遠が逃げてしまうから 閉じかけた少女の瞳は何を捉える 幼きあの日、少女は確かに夢を抱いた それがどんな夢だったかもうわからないだろう 永遠が逃げてしまわないよう 短い記憶の早戻し 閉じかけた少女の瞳は何を捉える 幼きあの日…

7

佐和子は床に横たわっていた 思考する事すらままならないような虚ろな瞳で床に横たわっていた。魂が脱けだしてしまったように、そこにいるのは佐和子なのだがただのもぬけの殻に見えてしまう、生気と言う物が一切感じられない。佐和子に大丈夫かと尋ねると首…

6

孤独な太陽枯れるまで照らす どうか鋭い刃を突き立てて腹を裂いて 臓物は無く伽藍堂の中から 大量の蛾が出てくるでしょう 蠢き犇めき合うその様は いつかお伽話で読んだ永遠を彷彿させる

5

サルビア咲いて 咲いてサルビア 真っ赤なあなたは いつ見ても綺麗ね くるくる回るように いつ見ても綺麗ね 約束破らないよう 千切った小指は いつ見ても綺麗ね サルビア咲いて 咲いてサルビア 真っ赤なあなたは きっと凛々しいわね 赤が深くなる頃には きっ…

4

床に寝そべりタイルの冷たさを確認して、そのまま息を吐いた。やけに暑い日はこうしていつも床に寝そべりタイルの冷たさを感じながら生きている事をただ釈然と感じ、明日への希望は何かと考えるのであった。荷物や本、マグカップが乱雑に置かれた机を整頓し…

3

佇んでいた。 彼女はうだる夏の暑さの中を裸足で私を見下すようにただぼうっと幽霊のように恨めしそうに佇んでいた。私は丁度スーパーからの帰り道で買い物袋を手にしていたのだが彼女のあまりにも恐ろしい形相を見てしまい買い物袋から手を離してしまった。…

2

オレンジ色、降下する溶け始めるあなたの記憶と混合されるであろういつかの私夢現な世界、降下する途切れ始める私の感情と変色してしまうであろうあの色あの日の音、降下する後ろ振り向き戻って来いと叫ぶ声さえままならず眼が覚める溶け始める時刻

1

幼い私は魔法を授かるお前は可愛いから特別だと魔女の加護があるという北の大地に産まれた私はスクスクと育っていった。雪がしんしんと降る夜につがいだったはずの人間が私を捨てた。延々と涙が溢れ、流れ出たような気がする。雪が止む事が一年中通して一日…

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深海 あなたの全てが好きよ人魚は獅子と恋に落ちましたあなたの全てが好きよ人魚は獅子にそう伝えます獅子は微笑みながら人魚を見つめ言いますあなたのためなら私はこの身を投げよう獅子は海へその身を投げ入れました海底で寄り添う2人に迷いは何もありませ…

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かじる熟れた果実夏の匂いに誘われてあなたの全てを汚したい追われる夏の悪夢に縋る時鱗が生えてこの体は徐々に進化を始めるあなたの全てを汚したい生え始めたこの鱗は灼熱感を帯び始めあなたの全てを壊したくなるいつしか熟れたその匂いに誘われて死ぬそれ…

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小指の呪文小指の魔法唱えると太陽が笑う小指の魔法口ずさむと月が謳う繋ぐ手の先、熱を感じる指先から伝うあなたの温もりいずれかに消えゆく小指の約束手と手を伝う交互にくべる嘘の傷み抉るようにキスをして魔法が途切れぬようにそっとこのままこのまま揺…

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無意識下存在する罪悪感を共有する縺れて歪んで螺旋になる感情交差する女の裸体甘い匂いがするもんだから噛り付きたくて飛び掛かる雄甘んじて受け入れる女は微笑む深くに根をはる欲望の権化探し出せれば海へ還すもうすぐ孵化が始まるそう信じている女は既に…